「先生、この曲がどうしても弾きたい」
その一言に込められた想いを、私はできる限り真正面から受け止めるようにしています。
たとえ、それが“今の実力”では難しいチャレンジだと感じる内容であっても、です。
ピアノ教室での発表会前、選曲の時期になると、
こどもたちも大人の生徒さんも、それぞれの想いを胸にやってきます。
涙を浮かべて「やりたい」と訴える子。
ただただ涙が出てしまう子。
「やりたい」とは言わないけれど、イライラや戸惑いをぶつけてくる子。
遠慮がちに、けれど心の奥で「先生なら分かってくれるはず」と信じて訴えてくる大人の生徒さん。
「どうしても今、やってみたい」
その願いが胸にぎゅっと詰まった様子に、私も心を動かされます。
ですが、目の前の楽譜は上級者向け。半年後の本番には間に合わないかもしれない——。
その現実をどう扱うか、教える側としては悩ましいところです。
こんなとき、私が大切にしているのは「問いかけ」です。
「本当にやりたいと思う理由はなんだろう?」
「どこまでできたら、自分自身が納得できる?」
「今できる形にアレンジしても、それでも挑戦したい?」
問いを立てることは、「現実と願い」の間に橋をかけること。
「できるかどうか」の判断よりも、その人の「想い」に寄り添い続けることこそが、未来を育てる関わりだと思うのです。
これは、ピアノ教室だけの話ではありません。
英会話教室で「プレゼンで英語を話してみたい!」と声を上げた生徒さん。
サロンで「もっと自分らしい接客スタイルに変えていきたい」とつぶやいた新人スタッフ。
部下から「次のプロジェクトに挑戦したい」と手を挙げられた管理職の方。
誰かの「やりたい」という一言には、
必ずしも「根拠」や「準備万端な状態」があるとは限りません。
けれど、その言葉の奥には、
変わりたいという衝動や、自分で選びたいという願いが隠れています。
だからこそ、リーダーや指導者の立場にある私たちにできるのは、
「やる・やらせる」をすぐに判断するのではなく、
「その人自身の心の声に気づけるように問いを重ねていくこと」。
「それをやりたいと思ったきっかけは?」
「やってみた後、どんな景色を見てみたい?」
「できなかったとしても、今このチャレンジにどんな意味があると思う?」
こうした問いの一つひとつが、
本人の内側にある本音やモチベーションを掘り起こし、次の一歩を選ぶ力へと変わっていきます。
「やりたい」と言われたとき、
私たち指導者やリーダー自身もまた、
「この人に対して、私は今なにができるだろう」
と自分自身に問いかけ続けることが大切だと感じています。
指導や育成、リーダーシップとは、
この文章が、ピアノ教室の先生はもちろん、英会話教室、
スタッフと共に働くサロン経営者、教職や組織での人材育成に携わる方、
そしてリーダーとして人を導く立場にあるあなたの心にも、少しでも届くことを願っています。
未来デザインコーチング チェーロリッコ
先生・講師のための、信頼を育むリーダーシップ
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