ときどき、十五歳の春のことを思い出します。
高校合格が決まった春休みの3月の終わり、
いつものようにピアノのレッスンを終えた帰り際に、
先生に「この先どうするの?」と聞かれました。
答えに詰まった私に、
先生は重ねるようにこう言いました。
「君にはピアノは無理だろうな」
その瞬間、
私はほとんど反射のように言っていました。
「ピアノで進みます」
本当にピアノの道に進みたかったのか、
それとも負けず嫌いな気持ちが先に立ったのか。
将来が見えていない中で、
音楽の道の方が楽だと思ったのかもしれません。
今となっては、正直なところはよくわかりません。
ただ、その一言で
私の人生の向きが決まったことだけは確かです。

本当は入りたかった運動部にも入らず、
友人たちが部活動で仲間をつくっていく姿を横目に、
音楽で進むには遅いスタートだった私は、
ただひたすらピアノの練習を続けていました。
あのとき、「やめればよかったのに」と
今なら思うこともあります。
方向を変えることだってできたのかもしれない。
でも、当時の私にはそれができませんでした。
負けたくなかったのかもしれないし、
一度言ったことを取り下げる勇気がなかったのかもしれません。
振り返れば、遠回りだったのかもしれません。
けれど、人生を少し長く歩いてきて、
今はこう思うようになりました。
遠回りのように見える時間も、
決して無駄ではないのかもしれない、と。
その後、私は音楽とはまったく違う世界で
法律事務所に勤めることになりました。
知らないことを知ることは面白く、
人を支える仕事にもやりがいを感じていました。
でもどこかで、
自分の人生はこのままでいいのだろうか、
という問いを抱え続けていました。
思い切って事務所を辞め、
音楽の世界へと戻る決断をしたときも、
明確な未来が見えていたわけではありません。
給与ではなく業務委託、収入も決して多くはない。
それでも私は、音楽を教える道を選びました。
それと同時に結婚。
出産し、子育てをしながら、
まずは自宅で始めた教室を続けていきました。
そして、学びを続ける中で、コーチングに出会いました。

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振り返ると、
私はずっと同じ問いを持って歩いてきたように思います。
自分を活かす人生とは、
どんなものなのだろう。
どうすれば、
人が自分の可能性を信じて歩いていけるのだろう。
その問いを、探しながら歩いてきました。
もしかすると、
十五歳のあの春からずっと探してきたのかもしれません。
もしあのとき、別の選択をしていたら。
もし、
ピアノをやめていたら。
もし、
法律事務所に残っていたら。
違う人生もあったでしょう。
でも今、私は思うのです。
人生は、一度の選択で決まるものではない。
人は、何度でも選び直すことができるのだと。
遠回りのように見える道も、
途中で迷う時間も、
その人の人生の一部であり、
決して無駄ではないのかもしれません。
あのときの私にはわからなかったことが、
今は少しだけ見えています。
人は、何度でも選び直せる。
そして、
その選び直しの積み重ねが、
その人の人生を形づくっていくのかもしれません。
だからこそ私は、
人の話を聴き、その人が自分の人生を選び直す瞬間に立ち会う仕事をしているのかもしれません。
あのときの私のように、
誰かが自分の人生を選び直す瞬間に、
そっと立ち会える人でいたいと思っています。
未来デザインコーチング チェーロリッコ
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